25℃より熱い夢

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 阿良々木先輩に乗る夢を見た。
 乗る夢。比喩でも何でもなく、紛う方なき乗る夢だ。車に乗る夢や、船に乗る夢や、飛行機に乗る夢、という類であれば、多少は楽しさや浪漫があったのかもしれない。しかし、弾けるように目を覚ました私に残されたのは、後味の悪さと行為の感触の生々しさだけだった。
 肌に浮いていた汗を腕だけで拭う。湿った夏の空気は夜になってもじっとりと重くて、逃げるように目を閉じる。
 今夜も熱帯夜だ。

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ひとでなしの恋

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02 彼女のそれは頑迷である

 確かに、私と神原は付き合っていた。
 しかし、お互いをお互いの『彼女』と呼ぶのは何か違う気がしていたし、きっとそれは共通の認識だった。

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