僕の神原がボブカットになった

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「そんな薄情な男さっさと捨てて、私と付き合いなさい」
「えっ!」
「冗談よ」
 なんだ、冗談か。
 ぬか喜びして損した。
 あなたからの告白に対する私の返事の文言は、何時だって『はい、喜んで!』だと決まっているのに。

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それだけ

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 うちの学校の体育倉庫はどうして内側から鍵が掛かるようになっているのだろう。彼女は私を、体育用具やバスケットボールの匂いで満ちた狭い空間に入れてから、重い扉をきっちりと施錠した。そんなことをせずとも誰も来ないだろう、と経験則で私は思うのだが、それは彼女の意識の与り知らぬ事象である可能性も否めなかったので、言わないでおく。

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執着

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「男、もしくは幼女に生まれたかった」
「は?」
 廊下で僕の清掃活動を眺めていた神原は、突然そんな事を言った。

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