もしも、もしも、もしもの話

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02

「神原って、もしかして声上げる方なのか?」
「え」
 口から間の抜けた声が出る。こちらを覗き込んでくる阿良々木先輩が思いの外、真剣な顔をしていたからだ。
 このタイミングで声、と言えば一つしかないだろう。喘ぎ声だ。

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もしも、もしも、もしもの話

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01

 携帯電話のボタンをちょっとばかしプッシュするだけで、神原駿河は簡単に現れる。
 いつでも。どんな時でも。
 誤解を招きそうな言い方になるが、それが彼女の僕に対する忠誠心とやらの表れだとしたら些か不安を覚えるし、はたまた愛情とやらの表れだとしたらそれはそれで負い目を感じてしまうのが正直な所だった。
 それでも僕は神原駿河に甘えてしまう。先輩なのに、後輩に甘えてしまう。恋人関係が成立すると先輩後輩関係は薄れてしまうのではないかと勝手に思っていたのだが、どうやらそんなことはないらしい。
 三十分後、ミスタードーナツで。

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病的感情

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 阿良々木先輩が私の部屋にやってきた。
 何のことは無い。いつもの私の部屋の片付けの日だった。もう何度目になるだろう。
 今日も今日とて、阿良々木先輩はいらないものを買うなだとか、買ったものはちゃんと収納しろだとか、この本を買ったなら僕にも教えといてくれよ全力で語り合えるんだからとか、そんな文句をあれこれ言いつつ、かつ公には出来そうもないアンダーグラウンドな話を交えつつも、熱心に片付けを進めていた。
 その様を、私は廊下に座ってぼんやりと見つめる。冬の廊下はひんやりと冷たかった。

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