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携帯電話のボタンをちょっとばかしプッシュするだけで、神原駿河は簡単に現れる。
いつでも。どんな時でも。
誤解を招きそうな言い方になるが、それが彼女の僕に対する忠誠心とやらの表れだとしたら些か不安を覚えるし、はたまた愛情とやらの表れだとしたらそれはそれで負い目を感じてしまうのが正直な所だった。
それでも僕は神原駿河に甘えてしまう。先輩なのに、後輩に甘えてしまう。恋人関係が成立すると先輩後輩関係は薄れてしまうのではないかと勝手に思っていたのだが、どうやらそんなことはないらしい。
三十分後、ミスタードーナツで。 …
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