泣かせた Reader 言葉を飲み込んだタイミングで、視界が歪んだ。不随意的に瞳から涙が落ちる。いや、ちょっと待て。ここで泣くのは先輩として格好悪過ぎる……という虚栄心も、弾みで一緒に流れてしまったと思われる。 「え、ちょっと待ってくださいよ。……はあ。僕の前で泣き出す駿河先輩とか、解釈違いなんですけど」 … 1
微妙とでも言っておけ Reader 最近よくつるんでるみたいだけど、きみと神原って仲良いのか? ◇ 「――といった感じに、もの言いたげな顔の阿良々木先輩に訊かれたんですけど、駿河先輩的にはどう思います?」 「……微妙?」 「ですよねー」 … 1
hiccup Reader 「ひっく……ひっく……」 「……しゃっくりって百回したら死ぬってよく言いますよね」 「どうしてこのタイミングで言う」 「え? 隣でしゃっくりしてる人がいるんだし、思い出すには自然な流れじゃないですか?」 … 3
死んでいくロマンチスト Reader 03 「……私は扇くんのことが好きなのだろうか」 自転車に跨った背中に向けてこぼした呟きは、確かに私の声で出来ていた。 突如、鼓膜に突き刺さるようなブレーキ音と共に、前を走っていたママチャリが百八十度ぐるりと半回転した。 … 4