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「俺に言わせれば、阿良々木先輩の方が良く分からないがな。出会ったばかりの頃は、女の子しか抱けないって言っていたじゃないか。なのに、どうして俺と」
「さあな。なんでだろう。あんまり考えたくなかったから、考えたことなかったけどな」
「あ」
 ぞんざいな返事と共に、先輩の掌がするりと伸びてきて、脚の付け根をまさぐり始める。すると、自分の性器が下着の中で欲を吐き出したいとくすぶり始める。
「あ、阿良々木せんぱ……」
「黙ってろ。声聞くと萎えるから」
「う……」
 奥歯を食い締め、漏れそうな声を呼吸と共に逃がす。
「そうだよなあ……初めはお前の触るのって、結構きつかったんだよな」
 と、阿良々木先輩は平気で傷付くことを言ったが、きっと返事は求められていない。
 掌が先端を覆うように被せられ、滲んだ粘液を絡みつかせるように蓋をされた。そのまま焦らすような動作で、上下に扱かれる。だけど、相手の手の動きはどこか上の空で、良いところを的確に責めては貰えない。もしかすると、阿良々木先輩が理由を見つけるまでこのままなのかもしれない――なんて考えに思い至ると、否が応でも腰の奥が熱くなった。
 そのまま待って、待って、待つこと数分間。何度も行き来する手指の感触は、確実に俺を追い詰める。
 やがて、先輩はやっと言葉を見つけたのか、左手が意思を持ち始める。
「多分、あれだな。学校のスターのお前にマウント取れるのって、こうしている時くらいだからかな」
「っ……あ」
 吐き捨てるように呟かれた理由はきっと本心で、俺の胸を静かに抉った。なのに、射精の感覚は癖になりそうな程気持ち良いから恨めしく思う。

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