「あんた、いつまでそのままなの?」
文化祭の最終日。後夜祭の真っ最中。
まだ袈裟を着たままの京介は、誰もいない教室でだべっていた。
「ん? だって制服返ってこねーんだもん」
学校の教室で、袈裟姿でだらしなく座っている京介の恰好は、かなりシュールな感じだ。なんかバチとか当たりそう。 …
何もかも、暑さの所為だ
暑くて眠れない夏の夜には、よく京介を思い出す。 …
五秒
高校一年時の初夏。制服の袖の長さが半分になってから数日経ってのこと。
自分のセーラーと、自分と向かい合っている『奴』のYシャツが、屋上に吹く風に煽られて僅かになびいている。
そんな中、奴が口を開いたのは、あたしがしっかりと照準を合わせた後だった。
「ねぇ、えみか」 …