ミザリーワルツ

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「ハロウィンって、いつだっけ?」
 手元のスマートフォンでSNSのタイムライン(私は間違っても他人と繋がりたいなんて思わない)を追うのに夢中だった筈の沼地蠟花は、そんな質問を私に投げた。

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ミザリーワルツ

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01

 沼地蠟花のことは知り合う前から知っていた。
 人の噂なんて当てにはならないけれど、しかし、そんな余計なエッセンスを含ませたフィルターを通してしか相手を見れないくらい、多量の噂を耳にしていた。
 しかし、いざ本人を目の当たりにすると、どこか言葉にし難い。有無を言わさない雰囲気があった。それはいつ思い返しても、私を暗い気持ちにさせてくれる。

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