そんな私を馬鹿だと言えよ

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「駿河先輩って、処女でしたっけ?」
「し……知ってる、だろ、きみ」
 きみも知っての通り、つい先日きみにあげたばかりだ。そんな意味のことを返したかったのに、言葉を上手く組み立てられなかった。どうしてそんなことを今更訊くんだ。と、これも日本語に起こせなかったが、私に覆い被さっていた彼の顔を睨むようにすると、視線から適当に読み出してくれたらしく。
「妙に慣れてるな、と思いまして。もしかして、僕との情事の間に、他の誰かとこういうことしました?」
「して、ない……っ」
 こんな私の様を見てそんな感想を抱くなら、きみの人を見る目は曇っているとしか言い様がない。余裕なんてないよ。やっと中に入れたばかりなのに。
 不意に、扇くんの黒を探すかのような視線が鋭くなった気がして、目を逸らす。顔は見たくなかったし、下を見れば繋がった場所が見えてしまうので、目を瞑って逃げた。その場所はぬるぬると滑って感触を掴みにくいのに、内側からの圧と快感は嫌って程に主張が激しく、私の思考を鈍らせる。
「逃げるの下手だなあ。そんなんだから、僕に流されちゃうんじゃないんですか?」
 内側を擦っていたそれが、まるで追究するかのように、更に奥まで入り込んできた。これ以上は進めないくらいまで深く刺さって、私を苛む。
「雰囲気に流された挙げ句、僕みたいな奴とセックスするなんて。駿河先輩って馬鹿ですよね」
「……っ」
「えー、ちょっと。なんで締めるんですか。駿河先輩、罵倒されて興奮するんですか? 全く、変態にも程があるでしょう」
「や……、……っ!」
「駿河先輩のこんな姿、阿良々木先輩がご覧になったら、どう思うんでしょうね?」
「いや、いやだ……! あ、ああっ!」
「気持ち良い癖に」
 冷たい声を浴びながら一度達した。

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