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「戦場ヶ原先輩について?」
 突然投げた私の質問を、神原さんは小首を傾げながら復唱した。
「うん。神原さんから見て、戦場ヶ原さんってどう見えるのか、ちょっと気になって。それこそ中学校の頃が顕著だったけれど、後輩の女の子から凄く人気だったでしょ?」
 私は私なりにオブラートに包んで伝えたつもりだったのだけれど、結果的にぼんやりとした物言いになってしまった。それが不味かったのか、基本的に溌溂としたイメージを損ねない筈の彼女の眉間に、少しだけ皺が寄る。少なからず感じるところがあったらしく、神原さんは、
「羽川先輩程の慧眼を持っていながら、計り間違いをするとは意外だな。私をただのレズだと思ったら大間違いだぞ。私は私がレズだから戦場ヶ原先輩が好きなのではなく、あの方が戦場ヶ原先輩だから戦場ヶ原先輩が好きなのだ」
 と、私に言った。ひとつの台詞に三度も戦場ヶ原さんの名前が登場し、指示語も沢山ちりばめられているそれは、一見すると雑多な印象が目立つ。なのに、どこか芯の通った強さがあった。
 そうして胸を張る様は堂々としていて、潔くて、それらは私にないものだな、と感じさせられる。同時に、言う相手を間違えている感覚も、どうしたって感じずにはいられないけれど……。
「……うん。ごめんなさい、失言だったね」
「なあに、大過ない。最終的に分かって貰えればそれで良い」
 と、力強く頷く神原さんは、その態度が学校の先輩相手だという点だけを差し引けば、素直に格好良かったと思う。
 成程、昔の戦場ヶ原さんに負けず劣らず、年下にモテる筈だ。

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