「君はやはり、女性と過ごす方が好きなのかな」
らしくない質問に、おや、と思った。さっぱりとした気質――が本質なのかは定かではないが、少なくとも俺はそう思っている――先生から、そんな粘ついた言葉が発されるとは今の今まで想像していなかったからだ。ただ、あまりに淡白な調子で呟かれたので、俺の貞操観念についてを問い質されている訳ではないらしい。経験上、耳にしてすぐはその言葉に身構えてしまったが、俺は俺の直感を信じて、目の前にあった先生の肩に腕を回す。
「いやいや。確かに女の子と過ごすのは嫌いじゃないです、が……その言い方だと語弊がありますね。先生だからこそ、俺はこうしてここにいるんですよ」
「そういうのはいい」 …
至情には未だ遠い #3
Reader