振られた話

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 急に思い出したんだけどさあ、と善逸が切り出したのは、鬼狩りからの帰り道でのことだった。そこは藤の家に向かう途中で初めて立ち寄った街だったのだが、甘味処から漂う饅頭をふかす匂いや煎餅を焼く音に釣られ、二人で団子を買って店先で頬張っていた。

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